写本を読むために
写本を転写する作業というのはかなり苦痛をしいられます。
慣れている人は直接写本を読み、訳出したりできますが、
僕はまだまだ古文書学初心者なので、一字一句現代アルファベットに直しながら読んでいます。
留学前に、同僚が古文書を少し読めるので、ちらっと手ほどきを受けましたが、
きちんと授業を受けたのはあちらに行ってからでした。
日本では、古文書読める先生は結構いるんですが、古文書学の専門家という人はまだいないのです。
で、あっちで一通りの手ほどきは受けましたが、いかんせん学部初級クラス。
あとは色々なマニュアルを使って実践するしかありません。
で、そんな人がお世話になるのが以下のテクスト。
といってもフランス語がメインですが。
Paläographie mit besonderer Berücksichtigung des deutschen Kulturgebiets , (Berlin , 1979) . の仏訳。
これがかなり良い。
他に、
Stiennon , Jacques . , Paléographie du Moyen Âge (Paris , 1973) .
もガイドとして有益。
他に、コディコロジー(書誌学?訳語よくわかりません。写本製作の具体を追求する学です。)の入門がこれ。
Lemaire , Jacques . , Introduction à la codicologie (Louvain - La - Neuve , 1989) .
あと、証書関係の入門だとこれ。
こうしたガイドを手に取るだけでは実際の写本読解は不十分で、
以下の写本略語辞典を常に参照しないといけません。
Cappelli , Adriano ed . , Dizionario di abbreviature latine ed italiane (Milano ,1990) .
もう第6版です。
史料の校訂版をなかなか出さず、写本ばっかりのイタリアならではの研究ツールと言えるのかも知れません。
一応日本語であるにはあるんですが。
- 作者: ジャンマビヨン,Jean Mabillon,宮松浩憲
- 出版社/メーカー: 九州大学出版会
- 発売日: 2000/03
- メディア: 単行本
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しかし、高いし、しかもこれは Mabillon , Jean . , De re diplomatica (Paris , 1681). の訳。
17世紀の古文書学の開祖がフランス王に献呈した著作。
確かに、書体・古文書カタログとしてとか、色々な書体を知りたい人にはいいかもしれませんが、これを読んで古文書読めるようになるかというと疑問。