円城塔『Self-Reference ENGINE』
Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 円城塔
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 文庫
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遅ればせながら。
プロローグ/エピローグ入れて全22章からなる。
オムニバスのようで、実は一貫しつつ、無数の物語を産み出すというスタイル。
というか、実際のところ、どう読んで貰っても構わないというようなスタイルのようにも思う。
複雑系・理論物理学(でいいんだっけ?)ベースの世界。
著者もどの程度かは不明だが、たぶん意識していると思うけど、これは実は、一部中世人たちの見ていた世界でもあったかもしれない、などと一人妄想したり。
SFは示唆に富むものが多かったりするもので。
個人的に、2部 Farside がかなり好き。
ラストもよい。
作品は読んで楽しく、興奮するようなエンターテインメントではないと思う(個人的には興奮したが)。
タイトルから推測できるように、物語ること/書くことについて「書く」というような、メタ的作品。
章ごとに多ジャンル横断、かつプロットも緻密、言語表現もちょっと癖がある。
この作品は章単位で短編映画にして映像化するのも面白そうな気がする。
奥様も作家とは知らなんだ。
ついでに、有名な彼のエッセイ「ポスドクからポストポスドクへ」も。