SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS ANNEX

SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS 別館

アウエルバッハ:『ミメーシス』『中世の言語と読者』


やはりスバラシイ。

ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈上〉 (ちくま学芸文庫)

ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈上〉 (ちくま学芸文庫)

ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈下〉 (ちくま学芸文庫)

ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈下〉 (ちくま学芸文庫)

中世の言語と読者―ラテン語から民衆語へ

中世の言語と読者―ラテン語から民衆語へ


文体論で古代から近代までの文学をこれほどザクザクと見事に料理できる人は、恐らく今のドイツ人研究者でもあんまりいないのではなかろうか、と思わせるほど。
まさに彼自身が19世紀ドイツ文献学が生み出した精華と言えるのでは。
ホントに19世紀のドイツの学知の水準は末恐ろしいったら。


でも言いたいことは極めてシンプル。
軸は古典古代ミーツキリスト教=「ヨーロッパ文学」ってことなんだと思います。


中世史学徒としては、『ミメーシス』の場合上巻だけで読んでもOKなんですがね。
『中世の言語と読者』は必読ですが。
ミメーシスで扱わなかった初期中世をカヴァーしていますから。



ところでアウエルバッハと並んで中世史学徒必読のクルツィウスですけど、僕の見知った文学界隈の院生とかでは、アウエルバッハは面白いけどクルツィウスはつまらんとブーブーでした。
確かにスタイル的にアウエルバッハの方が「読ませる」んですよね。クルツィウスは素材の列挙に見えて、中世やっていない人からするとあまり受つけられないようで。