リュシアン・フェーヴル『フランス・ルネサンスの文明』

フランス・ルネサンスの文明―人間と社会の四つのイメージ (ちくま学芸文庫)

言わずもがなのフェーヴルです。
同胞マルク・ブロックは中世ですが、彼の主たるフィールドは16世紀。
この時代です。

で、本書は彼の講義等をベースにした4編の論文集。
個人的にフェーヴルの翻訳ではこれがお気に入りです。
お手軽＆中身充実。
はっきり言って、この分量でこの内容の面白さは見事です。

彼の語り口、叙述スタイルはまさに雄弁家。
それと相俟って彼の想像力というか過去に対する共感力というのか、これがまた素晴らしい。
言われて見ればそうだよなぁと思うことしきりなのです。
あまり想像力とか共感力とか言うと、胡散臭く思われるかもしれませんが、そんなことありません。
実に地に足の着いた、人間というものに対する探究心というか、深い洞察力というようなものを見せてくれます。

学部生にオススメしたい一品です。