エルヴィン・パノフスキー『イデア』
- 作者: エルヴィンパノフスキー,Erwin Panofsky,伊藤博明,富松保文
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2004/06/01
- メディア: 単行本
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こちらは図像とか無し。
もっぱらテクストを読む。
16世紀、プラトンによって示されたイデア概念がどう解釈されたか、そしてイデアなるものが、この時代、思想家ではなく、芸術家の活動において明らかになっていたということ。
面白いのが、実は初期ルネサンスの芸術理論では、実はネオ=プラトニスムの影響ほとんどなかったということ。
古代では、イデアという概念は精神と自然との同等性を意味するものではなく、自然からの精神の独立性を意味するものとして捉えられていた。
これに対して、17世紀古典主義で明確に表明されるが、すでにルネサンスにおいても、イデア概念は特殊な近代的芸術観のもとで捉えられていた。
すなわち、イデアという概念を「理想」へと変形することで、イデアの世界を高められた現実の世界と同一視するような芸術観。
16世紀の芸術理論としてのイデア
- イデア=自然を凌ぐ美の表象→後に「理想」という概念に定着するもの。アルベルティ、ラファエッロがそれ。
- イデア=自然から独立した形象一般の表象→13,14世紀同様、「思想」pensiero 、「着想」concetto と同意味。ヴァザーリがそれ。
ルネサンスの芸術理論=問題など何一つなく、ゆったりと寛いだ雰囲気を醸成→しかしそれは見かけだけ。表面上の対立を調和させようという、この時代のあらゆる発言に見られる傾向と完全に通じ合うもの←芸術と現実のギャップの大きさ。
基本的に当時の芸術理論の「トップランナー」(トップアーティストではない)のテクスト読解。
するとイデア論ばっかりだったというオチとして理解してはダメ?