ピーター・ブラウン:『古代から中世へ』
- 作者: ピーターブラウン,後藤篤子,Peter Brown
- 出版社/メーカー: 山川出版社
- 発売日: 2006/05
- メディア: 単行本
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1998年に来日した際の講演の書籍化。
巻頭の訳者によるブラウン解説がすばらしい。
あの厖大なブラウンの業績を古代史研究上に的確に位置づけている。
「古代末期」Late Antiquity という概念についても。
巻末に主要著作が挙がってるのも良心的。
170頁そこそこなのですぐ読み終わる。
ブラウンってダブリン出身だったのかとこの本で始めて知ったw
個人的には「貧困とリーダーシップ」と「栄光につつまれた死」が面白かった。
特に古代において「貧者」とは何かという歴史的変遷を追いかけていくさまと研究上の「誤読」の歴史を辿るところなど、何か中世の「紀元千年における民衆異端」像に関する議論と似たものを感じた。
というか、どの領域でもありうる議論なんだと改めて実感。
しかしブラウンはうまい一言で事象を表現するのに長けた人だなと、これまた改めて思った。