斎藤英喜『読み替えられた日本神話』
- 作者: 斎藤英喜
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/12/19
- メディア: 新書
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著者は法政・日大出身で現在佛教大学教授。神話学・伝承学が専門。1955年生まれ。
『古事記』、『日本書紀』が古代から現代まで、どのような形で読まれてきたきたのかを、かなりざっくりと紹介する。
テンポはいいが、かなり議論の展開が粗い。新書の体裁のせいもあるだろうけれど。
平安期の日本紀講から中世日本紀あたりは、ここ最近の注目分野でもあり、基本的情報が厚い。
近世、近代はもちろん研究が結構ある領域だが、現代において、神話がどう読まれているのか、戦後マルクス主義史学、吉本隆明やジブリアニメまでも射程に入れて論じる。
簡単な日本の戦後神話学史にもなっている点はオトク。
ただし、正直『もののけ姫』や『ナウシカ』解釈はこんなものでいいのかは不明。
あと、何かと研究者や著書にマルクス主義的立場からのアプローチなどと指摘しているが(特に歴史学)、こちらからしてみると、どの辺りがマルクス主義なのかわからなかった。どう読んでもそこまで言えるとは思えない著作もある。
古代文学側からの歴史学評価というのは、どうもピンとこない指摘を目にする。単に自分が古代史界隈と古代文学界隈の「空気」に無知だからなのかもしれない。
ともあれ、日本神話学史の通史としてはお手軽でおススメ。