佐藤弘夫:『起請文の精神史』
- 作者: 佐藤弘夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/04/11
- メディア: 単行本
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起請文という「代表的な中世文書」とされる史料から、中世思想を照らす試み。
従来の「頂点思想家」のテクスト読み込むことによる「中世思想」研究とは異なる方法論をとる。
起請文から垣間見える中世のコスモロジーを解き明かしていくところは面白く、かつ、そこから翻って法然や親鸞のような「頂点思想家」のテクストとつき合わせていく章が個人的に一番面白かった。
法然や親鸞のラディカルさが際立つ。
西洋中世なら何と似てるかとか色々考えた。
何分選書という体裁のため、相当史料の分析をはしょっているのだろうと窺われたが、実際中世でどれくらい起請文の体系的・統計的分析が可能なのか知りたいとは思った。
あと各ナラティヴ史料の質とそこに起請文の記述が入った場合の関係とか。
日本思想史研究の現状に対する問題というか不満というか愚痴というか、そういうものも随所に盛りだくさんw