大澤千恵子『見えない世界の物語―超越性とファンタジー』
見えない世界の物語 超越性とファンタジー (講談社選書メチエ)
- 作者: 大澤千恵子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/04/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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つっこみ処が多すぎてすごい読むのが苦痛だった。
著者は東大宗教学宗教史学専攻で博士。
専門は宗教児童文学。
立教大その他で講師。
本書は博論のリライトではないが、般教の講義をまとめたような印象の内容。
そういった印象をもつ理由として、出典が辞典・事典、入門書ばかり。しかも日本語の。
もちろんそれが悪いわけではない。
しかし、引用文も原典から引っ張ってきたのかと思ったら、「邦訳」原典ばかりだったり、事典からの丸写し?だったり。
ウェーバーから結構大事な箇所を引用していると思って注見たら他の研究書からの孫引きだったりと、読み進めるほどイラつくという、昨今稀にみるストレスのおまる読書を強いられた。
内容はアンデルセンの章とかイギリス児童文学の章などは、こちらが未知なせいもあって、非常に参考になったのだが、
いかんせん、上述のような体裁といこともあり、内容吟味以前の問題なので全体の評価は低い。
注とか引用とか、史料とか、著者としては割とどうでもいいことなのかなと思ってしまった。
自分の言いたいことを言えればいいというか。
初めに自説ありきで、史料とか先行研究などは自説を補強するための道具にすぎないというか。
史料から立ち上げていくという感じが薄い印象。
これは著者本人の資質というか問題なのか、それともディシプリンの違いから来るものなのかはこちらとしては判別つかない。
ただ、これくらいで論文なり本なりを書いていいんだ、という印象を後学の徒に与えるのではないかと思う。