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長時間残業:大企業の3社に1社、月100時間以上


 大企業の3社に1社は月100時間以上の残業をする人がいる−−。中央労働委員会が実施した06年賃金事情等総合調査の速報で、こんな実態が明らかになった。残業という概念をなくす日本版ホワイトカラー・エグゼンプション制度が議論となっているが、長時間残業の常態化が浮かび上がった。

 調査は、中労委が行う労使関係調整の参考資料とするために実施。賃金については毎年、労働時間などについては1年おきに調査しているが、具体的に「100時間以上」の実態を聞いたのは初めて。

 対象は資本金5億円以上、従業員1000人以上の企業373社で、247社から回答を得た。それによると、06年6月の時点で、残業時間が月100時間を超える労働者が「いる」と答えた企業は33.2%に上った。 残業を含まない労働時間は年間1881時間54分で、前回調査とほぼ同じだった。

 定期昇給とベアなど賃金改定額は6275円で前年比280円増。毎月の平均賃金は37万7300円で同1500円減となった。一方、残業代は6万9500円で同6300円増となっており、残業時間が延びていることをうかがわせた。

 残業時間については、月80時間を超えると過労死の危険性が指摘される。過労死での労災は発症する直前の月の残業が100時間などが認定の基準となっている。また、過労によるうつ病発症の認定基準は月80時間を超える残業が続いていたことなどが大きな判断材料とされている。【東海林智】

毎日新聞 2007年2月5日 3時00分