SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS ANNEX

SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS 別館

 『世界劇場』


久しぶりに。
他人のお勉強のお手伝いの一環として読みました。


世界劇場 (晶文全書)

世界劇場 (晶文全書)



これの続編。

記憶術

記憶術


というか、副産物的作品。



シェイクスピア研究者たちが一生懸命知恵を絞って解明しようとしていた、地球座の構造を、実は記憶術から復元できるんじゃないの?と示した作品。この研究への反応は知りませんが、どうなんでしょう?シェイクスピア研究者はどのようにこの研究を評価しているのでしょうか。


16〜17世紀イングランドの演劇とルネサンスのオカルティズムがいかに絡むか。というか、そもそもこの知の体系を抜きにして、この時代の社会・文化を語っていいのですか?というのが、イエイツの一貫した主張だと思います。


そして主な登場人物は、ジョン・ディー、ロバート・フラッド、イニゴー・ジョーンズ。


ミソは、ヴィトルヴィウス「復興」運動、機械「復興」運動、そしてその背景として、当時のイングランドでは、数学・建築などのいわば「理系」学問がある種「サブカル」だったということ。


個人的な関心からも、かなり面白く読みました。
ただ、後半の地球座復元への探索は、おそらく本書の一番の見せ所なんですが、そこら辺りから、ちと筆が走りすぎた箇所が多いかな?と思いました。これは僕がこの時代の基本的な知識が無いからという可能性も高いのですが。いくつか核心的な主張している箇所で、ソースなしで断言しているところがあって、これほんとなの?ということが後半でちょっと目に付きましたもので。


あと、本書でトリビア的情報扱いでしたが、ダ・ヴィンチの劇場設計図、ちと見てみたいと思いました。