『アウグスティヌスにおける教育』
- 作者: 岩村清太
- 出版社/メーカー: 創文社
- 発売日: 2001/05
- メディア: 単行本
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日本では主流の、思想史の文脈でアウグスティヌスを見るのではなく、「教師」としてのアウグスティヌスを見ることを試みた研究。
そういうわけで、神学・認識論などからのアプローチからは距離を置くとは言っているものの、彼の人間観・教育観に触れなきゃならないせいか、どうしてもそっちの議論に嵌ってしまうのは否めないことなのか。
個人的には、アウグスティヌスの説教について割りと突っ込んでくれている点はありがたい。
どうやら中世の説教とかなり似た状況があったんだなということが窺えた。
それと、古代末期の「教養」、ここでは後に「三学四科」と呼ばれるようになる、学芸とアウグスティヌスとの関わり、
修辞学の展開、あとは記憶術の議論などにも言及していることは評価。
次の読書会で、いよいよこの大物が出てくるため、その予習の一貫で。
もっと説教を分析してくれても良かったかなと。1000以上あるんだし。
大半が『キリスト教の教え』De doctrina christiana に割かれていたのはもったいないと思う。