SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS ANNEX

SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS 別館

  • マリア・ジュゼッピーナ・ムッツァレッリ「女性と衣服:その象徴的・社会的・経済的意味」(ヨーロッパ中世史国際シンポジウム『新しい中世像を求めて‐西洋文化における他者の形成‐:2004年10月10日、於東京大学数理科学研究棟大講義室』、1‐18頁)
  • 高山博「ノルマン・シチリア王国の対立の構図‐ノルマン王、アラブ人、ギリシャ人官僚、封建諸侯‐」(ヨーロッパ中世史国際シンポジウム『新しい中世像を求めて‐西洋文化における他者の形成‐: 2004年10月10日、於東京大学数理科学研究棟大講義室』、39‐63頁)
  • ミヒャエル・ボルゴルテ「文化相関史としての中世研究の途上?」(ヨーロッパ中世史国際シンポジウム『新しい中世像を求めて‐西洋文化における他者の形成‐:2004年10月10日、於東京大学数理科学研究棟大講義室』、64‐77頁)
  • ゲルト・アルトホフ「文化主義転換後のドイツ中世史研究」(ヨーロッパ中世史国際シンポジウム『新しい中世像を求めて‐西洋文化における他者の形成‐:2004年10月10日、於東京大学数理科学研究棟大講義室』、78‐102頁)
  • Clark , Elizabeth A . , " Women , Gender , and the Study of Christian History " , Church History , lxx ; 3 (2001) , pp . 395 - 426 .


金森氏の論文は、僕が13世紀の拒食の聖女たちを扱っていることもあって、かなり示唆に富む指摘が多かった。

去年の秋に東大で開かれたシンポジウムの報告書だと、ムッツァレッリとフルランのイタリア勢の報告が面白かった。

食・衣というのはアイデンティティと深く結びついたものなので、その辺に関心のある者としてはなかなか良かった。
他者認識というのも同じことね。

最後のエリザベス・クラークの論文は、キリスト教史研究における女性史・ジェンダー史をまとめた研究史。
もちろん、アングロ=サクソン的視点、というかアメリカ中心的な視点ではあるものの、このジャンルを引っ張っているのが彼らだからそこは差し引いて見ないとダメ。

宗教史の側から女性史・ジェンダー史を整理したものが無かったからこれは有難い。
それだけこの領域での蓄積が溜まってきたということ。
翻って、日本ではどうでしょうね。
少なくとも、西洋史で、宗教史からジェンダーとか扱っている人ひじょーに少ないんではなかろうか。