SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS ANNEX

SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS 別館

『ダ・ヴィンチ・コード』読了

一気に読んでしまった。
むちゃくちゃ面白いではないか。

スリリングで、知的興奮を沸き立てる暗号解読やら、
定番といったらそれまでなんですが、やっぱりニヤッとしてしまう陰謀史観的読み。
ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』の解釈は流石に唸ってしまいました。
僕は図像学の専門家でもないですし、美術史学徒でもないですから、アカデミックの世界でどう解釈されているかは知りません。
しかし、全体を通して、彼の聖杯解釈は極めて面白い。

こういう大胆な解釈に持っていける想像力っていうのが、歴史系小説の書き手には必要なんでしょうね。
って、別に歴史小説に限ったものではないですけどね。


僕は専門の13世紀の聖女研究がらみでマグダラのマリア(フランス語だとマリー・マドレーヌ)崇敬の問題にも関わっていたので、
こういった絡めかたもあるんだなと感心しました。
聖杯研究の世界では当たりまえっだのかどうか分かりませんけど。

だいたい、歴史研究で聖杯伝説扱うことってまず無いですよね。
基本的に中世文学が主に扱っているテーマなんだと思います。

それから、これを読んでてあれ、そうだったっけ?とつい中世史を復習しなきゃならん事項がいくつもでてきちゃってこれを調べなおすのも面白いですね。

たとえば、初代エルサレム国王(実際には王とは名乗っていない)、ゴドフロワ・ド・ブイヨンの血筋がメロヴィングになっていますが、これってそうだったっけか?と思ったりしました。

ちと手元の資料だと確認しきれなかったので、今度暇があったら調べてみたくなったり。

まぁ、フィクションだろうとかまわない瑣末なことなんですけどね。

何というか、史実に微妙なフィクションをつけるセンスがいいよなぁ、と感心しました。

あと、舞台設定がいいですよね。
いきなりルーヴルでしょ?
うっとりですよ。


こりゃ売れるよね。
フランスにいたときも、かなり評判が良かったですからね。
この本を携えてパリ観光するアメリカ人が結構いたとかいいますもんね。




こういうの日本史・東洋史系でできる人いないかな?
『ムー』っぽいネタで、もっとしっかりした調査を踏まえて描く陰謀史・裏面史みたいなミステリー。

『フランチェスコの暗号』とか『グノーシスの薔薇』とか読みましたが、
純粋に「推理」という面でいえば、『ダ・ヴィンチ・コード』の方が面白いですね。
歴史解釈の面白さはどの作品も十分面白いですけどね。

先輩の話だと、『天使と悪魔』の方が、『ダ・ヴィンチ・コード』より面白いらしいので、
次はそっちをゲットしたいかなと。