永嶺重敏『東大生はどんな本を読んできたか』
東大生はどんな本を読んできたか―本郷・駒場の読書生活130年 (平凡社新書)
- 作者: 永嶺重敏
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: 新書
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著者は東大情報学環図書室所属。
近代日本の読書史と言ったらいいのか?が専門。
大学史、古書組合社史や東大生協史やらゼミ生記念集や、学生生活調査などの記録から東大生130年の読書傾向の変遷を辿る。
メインは駒場より本郷。駒場の教養学部に対する読書研究はすでに蓄積があるため。
東大図書館の成立事情や学生によるその利用傾向や、本郷界隈の書店と学生の関係、東大法学部の授業形式の独特さ(教授の講義をひたすら忠実に書き写すことが授業だったとか)など、独特の読書空間が形成されていることが面白い。
法学部がメインの話なのですが、それによると自由に読書できたのは駒場までで、本郷に来るとひたすら試験勉強のための読書で、図書館利用もただ席確保して講義ノート書き写したり参考書やらを使うためで、貸し出して何かを読むとか言った類のものではなかったらしい。
東大出版会の成立経緯とかもわかって面白い。
学生が安価で書籍購入できるようにとの経緯からできたのですが、何だよ、今軒並みここから出てるの高くないすか?
あと学生による読書サークルの多さと、そこでの読書を通じた学生間コミュニケーションというか、読書文化が形成されていって、それが本の売り上げなどを左右してたのが、今はそういう形では売り上げに反映されておらず、漫画や雑誌が上位にくるとか。「共読」から「孤読」へと変化すると。
色々興味深い指摘があってよろし。