竹内洋『教養主義の没落』
- 作者: 竹内洋
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2003/07/01
- メディア: 新書
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これまた評判の本ですよね。
思いっきり端折っていえば、教養主義というのは、「修養」概念を基盤に明治30−40年代の旧制高校、とりわけ一高の読書の傾向により形成され、それが大正時代を通じて旧制高校全体に拡大したこと、それが大正後期以降マルクス主義進出によって教養主義が一時後退するがマルクス主義弾圧以後の昭和10年代に再度教養主義が復活し、それが戦後社会へと流れていくという図式。
と言いますが、比重としては戦後の教養主義にある。
戦後の教養主義の消長をうまく抽出しているところがミソ。
1950年代の石原慎太郎の位置づけとか、岩波書店という文化装置の意義とか。
某都知事の作品が何で人気あったのか全然わからなかったんですが、これを読んでなるほどねと思いました。
で、60年代の全共闘から70年代以降の教養がキョウヨウに変わっていく様を描く。
間に帝大文学生とフランスのノルマリアンの比較とか。
要は階級などが所属と転倒してるってやつですよね。
素人なんでよくわからないですが、この手の領域というか教育社会学では、やはりブルデュー以外に参照できるものは無いということなんでしょうか。後はウェーバーくらい?
後、著者の所属する京大で分析するとどうなっていくのでしょうか。
色々見る限り読書様式、授業形態など東大と結構違ってたみたいですし。