SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS ANNEX

SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS 別館

今日はエロ。


ということで、18禁(笑)。

以下はの引用はここから。


ルノー・ドゥ・ラ・クロワ(吉田春美訳)『中世のエロティシズム』(原書房、2002年)(de La Croix , Arnaud . , L'erotisme au Moyen Age , Paris , 1999) .


それから彼女を強く抱きしめ、
その優しい口に接吻した。
硬直し始めた男根を、
彼女は興奮させ喜ばせた。
彼女の手の平に、彼はいきなり放出した。


『男根の夢』、ジャン・ボデル(Jean Bodel , v . 1165 - 1209 )、アルノー・ドゥ・ラ・クロワ『中世のエロティシズム』、130頁。


「神のみ心のままに、私は女と一発やりました。
だれとかって? 亭主の娘とですよ。
前から後ろから楽しんで、
彼女の樽にしっかり穴をあけました」。


ジャン・ボデル、「ゴンベールとふたりの坊さん」、アルノー・ドゥ・ラ・クロワ『中世のエロティシズム』、131−132頁。


「彼は男根を女陰に押し込むと、
突いて突いて突きまくり、
やりたかったことを全部やった」。


のぞき屋の司祭」、ガラン、Garin 、アルノー・ドゥ・ラ・クロワ『中世のエロティシズム』、132頁。



「ロゼットはそれをこすり始めた。
それを両手にとり、
ただただ無邪気に、
そっと握りしめたり、いじり回したりする。
するとそれは彼女の手の中で首をもたげた」。


「トリュベール」、ドゥアン・ド・ラヴェーヌ、アルノー・ドゥ・ラ・クロワ『中世のエロティシズム』、132頁。

あけすけなエロ話。

いずれも『ファブリオ』Fabliaux と呼ばれる中世の文学ジャンル。
今のフランス地方で、主に13世紀に流行したもの。
現存しているのは150篇余り。

手元にあるファブリオ集にはどれも入っていなくて、原文で読めないのが残念。
まぁ、だから「つまみ食い」なわけなんだけれども。

ファブリオの大半は作者不明のものが多く、こうした笑い話ばかり集められている所から、「西洋中世の落語」などと日本の中世文学研究者達から呼ばれたりしています。出てくる人物たちも生臭エロ坊主やら、ヤリマン奥さんやらと、これでもかと言わんばかりに俗なエネルギーを撒き散らしている、なんともパワフルな作品です。見事に「俗にまみれた」話ばかり。
だから、いい。


流石にこれをまじめに研究するのはアカデミシャンにとって憚られるのか、日本でこれをまともに研究している人を僕は寡聞にして知りません。
こんなに面白いのにねぇ。


とは言うものの、日本語で幾つかのファブリオは読めます。


(森本英夫・西澤文昭訳編)『フランス中世滑稽譚』(教養文庫、1988年)
(森本英夫訳編)『フランス中世処世譚』(教養文庫、1985年)
新倉俊一・神沢栄三・天沢退二郎訳『フランス中世文学集3‐笑いと愛と‐』(白水社、1991年)


「ロマンス」な中世に飽きた方に。


中世のエロティシズム

中世のエロティシズム

フランス中世滑稽譚 (現代教養文庫)

フランス中世滑稽譚 (現代教養文庫)

フランス中世処世譚 (現代教養文庫 (1105))

フランス中世処世譚 (現代教養文庫 (1105))

笑いと愛と フランス中世文学集 3

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