岡村敬二『江戸の蔵書家たち』
- 作者: 岡村敬二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/03
- メディア: 単行本
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著者は大阪府立図書館司書。
江戸末期、小山田与清、屋代弘賢、塙保乙一など、膨大な蔵書、桁外れの蒐集量で鳴らし、照会や数寄の集いの交流から築き上げる「知」の網目。
茫洋たる文献宇宙を彼らはいかに見、どう世界を腑分けしてたのか。
彼らが作った目録や解題、索引といったレファレンスツールからその痕跡を辿る。
面白いです。
が、フィンドレンとか知ってしまっている人間から見るとやや物足りなさもあることは確か。
『群書類従』を編纂した盲目の「博覧」塙保乙一という人物は興味深いです。
もっとこの人掘り下げてくれるかと思ったらあまりそうでないように見えたのがなんとも。
江戸も後半にレファレンス熱が盛り上がるのが、国学の台頭とリンクしていて、言葉と宇宙の繋がりを強く意識していたという点も興味深い。
蔵書家たちの勉強法や身体管理の方法なども面白い。この辺も西欧の近世と似てる面ありますな。
よくわからないのが、国学メインの話だったので、蘭学の書物レイアウトや西欧の書物の観念(と言えばいいのかわからないけど)といったものの影響って無いんですかね?無いのか。
明治になると俄然西欧の手法が意識されるっていう話はわかるんですけど。