SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS ANNEX

SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS 別館

『ヴィンランド・サガ』12

ヴィンランド・サガ(12) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(12) (アフタヌーンKC)


男たちは余分なもののために命を掛けた。
息子を守るために父は戦うと言った。
守るために戦いにいくことを、女は理解できなかった。
そして残された女子供は敵に襲われ、家は焼かれ、老人は殺され、女は奴隷にされた。


戦争と奴隷のいない世界をつくるにはどうすればいいのか。
多くの「敵」を殺し、多くの略奪品を持ち帰えることが「当たり前」の社会。
「当たり前」をやめるにはどうすればいいのか。


自ら殺めていった者たちへの償いに、今まで撒き散らしてきた死と破壊を、生と創造で補うにはどうすればいいのか。


平和のために戦争をしても意味はない。
剣を必要としない地をつくりたい。
そこに死者たちの霊を鎮めるための塚を築きたい。
だがその道筋は見えない。


聖書の言葉に惹かれはじめるトルフィン。
トルフィンの彷徨は続く。


前巻は、すでに聖書の教えを知っているクヌートが、地上に楽園を作るために、戦争と権謀術数の道へと邁進するのがメイン。
これから神の言葉に出会う者とすでに出会っている者の対比、そして近く再会するであろう2人をどう描くのか、気になる。