SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS ANNEX

SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS 別館

中世の「社会」思想史


もう何度も読み返している「古典」ですが、やっぱりこの本は良いと思います。


ゴシック世界の思想像

ゴシック世界の思想像


「中世社会思想史」とでも言えばいいのでしょうか。


そもそも中世に「社会」というものがあるのか、という問いは出てくるかと思いますが。
ですが、「この世」or 「現実」をどう認識していたか、という問いにたった研究は、結構なものがありますよね。


もはや古典となったデュビイの『三身分論』なんかはその筆頭でしょう。


英訳:

The Three Orders: Feudal Society Imagined

The Three Orders: Feudal Society Imagined



あと邦語だと、やや趣は異なるかと思いますが、

隠喩のなかの中世―西洋中世における政治表徴の研究

隠喩のなかの中世―西洋中世における政治表徴の研究

も挙げられますよね。


ただ最近、オットー・ゲルハルト・エクスレの論文

  • Oexle, Otto Gerhard., " Perceiving Social Reality in the Early and High Middle Ages: A Contribution to a History of Social Knowledge ", Ordering Medieval Society: Perspectives on Intellectual and Practical Modes of Shaping Social Relations, ed. Bernhard Jussen, tr. Pamela Selwyn (Philadelphia: University of Pennsylvania Press, 2001), pp. 92-143.


は、この問題に対して、論点の整理、分析フレームの建て方など、興味深い議論を展開しているなと個人的に思いました。

射程が13世紀以降まであまり伸びていないのがナンですが。