SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS ANNEX

SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS 別館

堀越孝一『ブルゴーニュ家』


ブルゴーニュ家 (講談社現代新書)

ブルゴーニュ家 (講談社現代新書)


ブルゴーニュ家、百年戦争期の研究といえばいわずもがな。
個人的には、マイ・フェイヴァリットな『中世の秋』を訳して頂き、本当にありがとうございますと感謝しきりのお方です。


相変わらずというか、「自由」な書かれ方です。
「奇怪」というか「妖艶」といいましょうか。


しかし、どうなんでしょう?
こういうスタイルだと、どういう読者層を対象にしているんでしょうか?


全くのブルゴーニュ家「素人」にははっきり言って読みづらいと思うし、
かと言って「玄人」にとっても文体も含めて読みやすいとも思えない。


じゃあその「間」なのか?というと、そんな人にしてみても読みにくいだろうなぁという気がします。


けっこう軽い語り口を意識されているように思えますが、これだとかえって…という気がするのです。
まあ、でも(こんなフレーズよく出てくる)、ブルゴーニュ家なんて領土展開も家系関係も結構複雑な位置にいるものですし、図版、年表、家系図等、相当親切に作られてあることも確か。


家門関係で概説書こうと思ったら、普通つまらない通史みたいになりますからね。
とするとやはりこの本は入門用ということでいいのか…
う〜ん、なんとも悩ましい本ですなぁ。


内容というかその質に関して言うと、このお値段と分量でさすがですということなんですけどね。


ちなみにメインは「おひとよし」。ついで「むこうみず」に結構分量さかれてあります。


「おひとよし」がおひとよしじゃなければ、本当にロタールの王国の復活を見れたのでしょうかねぇ。
本当に面白い家門ですよ。