SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS ANNEX

SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS 別館

 『松平定信‐政治改革に挑んだ老中‐』/『幕末の天皇』/『定信お見通し‐寛政視覚改革の治世学‐』/『ヨーロッパ中世末期の学識者』


だいぶ前に読み終わっていたのを up 。

ネタ用ストックとして小出しにしておこうと思ったけど、結局そうするといつまでたっても更新できないことが判明。
一言コメントでもいいから、読み終わったらすぐ up しないといかんなと気付く。

ノートやカード作りと同じってことですな。


松平定信―政治改革に挑んだ老中 (中公新書)

松平定信―政治改革に挑んだ老中 (中公新書)


幕末の天皇 (講談社選書メチエ)

幕末の天皇 (講談社選書メチエ)


定信お見通し―寛政視覚改革の治世学

定信お見通し―寛政視覚改革の治世学


教科書的な知識しか持っていなかった定信ですが、実はとんでもなく面白い。
今の「お江戸」像、ひいては「 Japan 」像の元はこの人から来ているようです。

さらに、定信と相対する人物としての光格天皇がこれまた面白い。
出自がそうさせていると解釈されていますが、かなり「天皇たる私」意識が強い。


定信と光格は似たところがあって、どちらもバリバリの復古主義者。
「あるべき〜」というものに向かって現実を動かそうとする、ある種イデオロギッシュなキャラのようです。
歴史をやっているとこういう人の方が面白い。実際にいると結構はた迷惑な人なんだろうなと思いますがね。


しっかし、スクリーチは相変わらず面白いですな。大体彼の一連の研究と同じことを言っている所も少なくないのですが、やっぱりハッとさせられる。
実は彼の目線(というと高山宏の目線でもあるわけだが)って、結構西洋中世やっている人にもかなり参考になるんですよね。


ふと思い出したのが、30〜40年位前、日本の西洋中世史研究で、教皇権 vs 皇帝権の研究(「叙任権闘争」ってやつね)がかなり流行った時期がありました。
確かに当時の欧米の研究でこのジャンルがよく議論されていたのですが、日本の場合、また違った視点からこのテーマに近づいていった人が多かったんだろうなと。


ヨーロッパ中世末期の学識者

ヨーロッパ中世末期の学識者


うって変わって、純粋に西洋中世史モノ。
ヴェルジェと言ったら、大学史。


ところが本書はちと視点が違う。

中世末期の「エリート」研究。
この領域をやると、やはり14世紀からやらざるを得ない。史料上の問題もあるし、独特の「知識人」集団が形成されるから。
有名なのが、フランスのフィリップ端麗王期の「レジスト」とアヴィニョン教皇庁の「エリート」たち。

これを読んで初めて知ったのが、シャルル5世っていうのも中々面白い人物なのではないかと。
彼もかなりはっきりしたヴィジョンを持って「王」をやっていたように見えます。

前半の本の生産・所有などの研究も有益。