乱読中
今日は日本語。
『マグダラのマリア‐エロスとアガペーの聖女‐』/『路地裏のルネサンス‐花の都のしたたかな庶民たち‐』
- 作者: 岡田温司
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/01/01
- メディア: 新書
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流石にカラヴァッジョなどの研究が専門だけあって、ルネサンス以降のマグダラのマリアの図像に対する解釈は読み応えがあります。
中世に関するマグダラのマリアの図像についてもっと突っ込んだこと言ってくれるのかと思ったんですけど、そうはなってなかったです。
僕はマグダラのマリアについて色々読み漁っていたんで、先越された感じがして悔しい思いをしています。
まぁ、中世についてはわりと浅かったし、イコノロジックなアプローチは僕の範囲ではないので、まだやれる所はありそうだと実感しました。
路地裏のルネサンス―花の都のしたたかな庶民たち (中公新書)
- 作者: 高橋友子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2004/01
- メディア: 新書
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著者は15世紀フィレンツェの捨子養育院研究で有名。
最新の研究と実はかなりソリッドな史料を駆使した中世末期(14−15世紀)フィレンツェの社会史入門。
イタリア史の羨ましい所が存分にでています。この時代にこれだけの証言があげられるっていうのはアルプス以北ではまずほとんどない。
大陸だとパリかフランドル都市、ケルンくらいでしょうか?それでも難しいかな?
読み物としても十分面白い。
友廣純「アウグスティヌスの説教をめぐって」(『史苑』vol . 62 ; 2、2002年、102‐119頁)
古代末期の説教についてまともに日本でやっている人いないと思うんですが、その意味でこのテーマを取り上げたことは価値がある。
具体的にアウグスティヌスの説教の分析をしているのではなく、その序論的研究。
- 作者: ピーター・バーク,谷川稔
- 出版社/メーカー: 人文書院
- 発売日: 1996/06
- メディア: 単行本
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- ジョーン・スコット「女性の歴史」(ピーター・バーク編、谷川稔・谷口健治・川島昭夫・太田和子他訳『ニュー・ヒストリーの現在‐歴史叙述の新しい展望‐』人文書院、1996年、51‐77頁)
- ピーター・バーク「事件史と物語的歴史の復活」(ピーター・バーク編、谷川稔・谷口健治・川島昭夫・太田和子他訳『ニュー・ヒストリーの現在‐歴史叙述の新しい展望‐』人文書院、1996年、273‐289頁)
少々古いんですが、ほったらかしにしていた論文を読了。もう「ニュー・ヒストリー」なんて聞かなくなりましたね。
ジョーン・スコットは『ジェンダーと歴史学』で著名なアメリカの歴史家。アメリカの女性史の歩みを手際よく整理。
ピーター・バークの論文は、当時ようやく日本でも問題になりつつあった歴史叙述の問題についてうまく纏めてくれている。
フランスのアナールの動きをイギリスがどう受け止めていたか、距離感を知るのにも使える。
ちなみに谷川稔氏による解説が、この辺の議論をうまく交通整理してくれている。