SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS ANNEX

SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS 別館

新型コロナウィルスによるパンデミック下/ロックダウン中に読んでおきたい感染症の歴史学研究

これだけは押さえておきたい感染症歴史学の基本文献

歴史学徒必読 感染症歴史学の基本文献

感染症歴史学を学ぶ意義は、現在蔓延中のコロナ・ウィルス COVID-19 に対する日本・諸外国政府の対応、社会の反応や展開を考える上でのヒントに溢れている。
国家、政治と医学がどのように感染症に向き合ったか、それによって社会はどう変容したのか。
よって、歴史に興味ないと言って政治や経済や医学に携わっている人間はアウトであるし、また科目問わず、学校教員も押さえておくべき学知。


初学者から学部クラスまで対応(のつもり)。
日本史での研究は極力割愛。理由は感染症歴史学の本格的研究は西洋史が先鞭をつけたから。方法論、使用史料の発見など含め。

日本史に関しては以下にとどめておく。
https://japanknowledge.com/articles/blogtoyo/entry.html?entryid=487

感染症の近代史 (日本史リブレット)

感染症の近代史 (日本史リブレット)

  • 作者:孝, 内海
  • 発売日: 2016/10/01
  • メディア: 単行本



黒死病―ペストの中世史 (INSIDE HISTORIES)

黒死病―ペストの中世史 (INSIDE HISTORIES)




コレラの世界史(新装版)

コレラの世界史(新装版)

恐らく、日本で初めて本格的な歴史学からの感染症研究。
これを読まないで病気の歴史やりますという歴史学徒がいたらぶっ飛ばされる。今こそ、早急に文庫化すべき本。




科学史家による初学者向け



  • インフルエンザ 

パンデミックのドキュメンタリーとして最も充実


  • イギリス

イギリスを代表する医学史家の基本書。

  • フランス 

アナール学派による感染症(だけに留まらない)の研究の傑作。原題『瘴気と黄水仙

  • インド 

植民地と感染症研究の先駆。グローバリゼーションと植民地主義の意味。
 

  • アフリカ眠り病 

ドイツ植民地とアフリカと感染症

  • 東アジア

上記、コレラの世界史からいち早く東アジアで研究成果を発表してきた著者の一連の成果が以下。

ペストと近代中国―衛生の「制度化」と社会変容

ペストと近代中国―衛生の「制度化」と社会変容

  • 作者:飯島 渉
  • 発売日: 2000/12/15
  • メディア: 単行本




上が1次史料を駆使した歴史学研究者による感染症研究
以下は非歴史学研究者による感染症史研究

ポイントは、非歴史学者による研究は初めに結論ありきで文献や史料を集めて持論を述べる危険に陥りやすい。史料の精読から世界を広げていく歴史学研究とは対極にある研究手法を取る。ストーリーとしては面白く説得的に感じるが、史料操作に問題孕むことが多い。よって注意して読むべし。


環境史・グローバルヒストリーの先駆的研究。ここから後述マクニールやダイアモンドのような研究が出てくる。