SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS ANNEX

SCHOLASTICUS LUGDUNENSIS 別館

『史学雑誌』回顧と展望より


正確には2008年の著作なんで、新刊のカテゴリーではないが。
全体の内容に関しての個人的感想は前のやつにのせたので。
ここでは、回顧と展望で紹介されていた書籍のうち、気になったものをいくつか勝手にピックアップ。
もう自分が読んだやつとかは挙げない。
論文も挙げない。



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総説


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歴史学と歴史教育の構図

歴史学と歴史教育の構図

学生をやる気にさせる歴史の授業

学生をやる気にさせる歴史の授業


講座 スラブ・ユーラシア学 第1巻 開かれた地域研究へ 中域圏と地球化

講座 スラブ・ユーラシア学 第1巻 開かれた地域研究へ 中域圏と地球化

講座 スラブ・ユーラシア学 第2巻 地域認識論――多民族空間の構造と表象

講座 スラブ・ユーラシア学 第2巻 地域認識論――多民族空間の構造と表象

講座 スラブ・ユーラシア学 第3巻 ユーラシア――帝国の大陸

講座 スラブ・ユーラシア学 第3巻 ユーラシア――帝国の大陸

スラ研は凄まじい。


イブラヒム、日本への旅―ロシア・オスマン帝国・日本 (世界史の鏡 地域)

イブラヒム、日本への旅―ロシア・オスマン帝国・日本 (世界史の鏡 地域)

ロシア・ムスリムで1909と1933に来日し、右翼、軍部、政治家と接触しつつ、日本のイスラーム化を目指して活動した人物の軌跡。



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歴史理論


イコンの崩壊まで―「戦後歴史学」と運動史研究

イコンの崩壊まで―「戦後歴史学」と運動史研究

歴史への問い/現在への問い

歴史への問い/現在への問い

日本の歴史学の史学史的検討。

マルクス主義という経験―1930‐40年代日本の歴史学

マルクス主義という経験―1930‐40年代日本の歴史学

戦前のマルクス主義歴史学が普遍性と個別性を結合させることで、天皇制やナショナル・ヒストリーと表裏の関係にあったこと指摘。


景観の歴史学

景観の歴史学


比較経済発展論―歴史的アプローチ (一橋大学経済研究叢書)

比較経済発展論―歴史的アプローチ (一橋大学経済研究叢書)

マクロ的議論と丹念に掘り起こされた統計的データを着実に検証し、個々の文章が、比較史を探求している国際的な研究者に向かって明確に発信されていると。


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〈日本〉(考古)
縄文時代

人骨出土例からみた縄文時代の墓制と社会

人骨出土例からみた縄文時代の墓制と社会

紹介されてませんでしたがこれも。

生と死の考古学―縄文時代の死生観

生と死の考古学―縄文時代の死生観


後なぜかアマゾンに出なかった物があってそれはカット。


(近代)
外交

日中戦争とイスラーム―満蒙・アジア地域における統治・懐柔政策 (慶應義塾大学東アジア研究所叢書)

日中戦争とイスラーム―満蒙・アジア地域における統治・懐柔政策 (慶應義塾大学東アジア研究所叢書)

満蒙、蒙疆、中国西北地方、東南アジア占領地域を対象に、満州事変から太平洋戦争期に至る日本の対イスラーム政策の実態を体系的に論じ、その全体像提示を試みたもの。

日米関係史 (有斐閣ブックス)

日米関係史 (有斐閣ブックス)

最新研究成果を踏まえた幕末から現代に至る日米関係の展開を高水準で過不足無く描ききったスタンダード・テキスト。


作品の文体自身から日本近代形成史を描き出す。


宗教・思想

明治前期の教育・教化・仏教

明治前期の教育・教化・仏教

労働は神聖なり、結合は勢力なり―高野房太郎とその時代

労働は神聖なり、結合は勢力なり―高野房太郎とその時代

日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 (パルマケイア叢書)

日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜 (パルマケイア叢書)


戦後・内政

輿論と世論―日本的民意の系譜学 (新潮選書)

輿論と世論―日本的民意の系譜学 (新潮選書)

メディアに着目した戦後通史。


「家族計画」への道―近代日本の生殖をめぐる政治

「家族計画」への道―近代日本の生殖をめぐる政治


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〈中国〉
(殷・周・春秋)

中国文明農業と礼制の考古学 (学術選書 36 シリーズ:諸文明の起源 6)

中国文明農業と礼制の考古学 (学術選書 36 シリーズ:諸文明の起源 6)

二里頭・殷・周時代

甲骨文字に歴史をよむ (ちくま新書)

甲骨文字に歴史をよむ (ちくま新書)


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〈東南アジア〉
海域アジア史

海域アジア史研究入門

海域アジア史研究入門

少数民族

民族という政治―ベトナム民族分類の歴史と現在

民族という政治―ベトナム民族分類の歴史と現在

ベトナムを事例に。「国定民族」なんていう分類制度あるとは。


華僑・華人研究

農耕起源の人類史 (地球研ライブラリー 6)

農耕起源の人類史 (地球研ライブラリー 6)

考古学者である著者が、考古学、比較言語学、人類学、遺伝学によって先史時代の農耕の起源と農耕を伴った集団の移動・進化を全世界規模で論じたもの。


オリエンタリストの憂鬱―植民地主義時代のフランス東洋学者とアンコール遺跡の考古学

オリエンタリストの憂鬱―植民地主義時代のフランス東洋学者とアンコール遺跡の考古学

植民地時代のアンコール遺跡の考古学史。


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〈南アジア〉
(古代・中世)

ゾロアスター教史―古代アーリア・中世ペルシア・現代インド (刀水歴史全書)

ゾロアスター教史―古代アーリア・中世ペルシア・現代インド (刀水歴史全書)


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西アジア
イスラーム時代)

イスラーム世界研究マニュアル

イスラーム世界研究マニュアル

(近現代)

現代イスラーム思想の源流 (世界史リブレット)

現代イスラーム思想の源流 (世界史リブレット)

アラブ、祈りとしての文学

アラブ、祈りとしての文学


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〈アフリカ〉

サバンナの河の民―記憶と語りのエスノグラフィ

サバンナの河の民―記憶と語りのエスノグラフィ

マリ・ニジェール河畔の人類学的調査。
アフリカ史叙述における「エスノグラフィー」の存在意義を示す。



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〈ヨーロッパ〉

(古代)
ギリシア

東地中海世界のなかの古代ギリシア (世界史リブレット)

東地中海世界のなかの古代ギリシア (世界史リブレット)

東地中海における東方の影響がどのように捉えられるのか、実証史学の立場から一般的に解説。

ローマ

ローマ帝政中期の国家と教会―キリスト教迫害史研究193ー311年

ローマ帝政中期の国家と教会―キリスト教迫害史研究193ー311年

193−311年のキリスト教迫害を帝国側の論理から行政指導と捉える。

ヨーロッパの改宗―コンスタンティヌス《大帝》の生涯

ヨーロッパの改宗―コンスタンティヌス《大帝》の生涯


(中世)
一般



Koichi Horikoshi, L'industrie du fer en Lorraine : XIIe-XVIIe siècles(Langres, 2007)


西欧・南欧

法が生まれるとき

法が生まれるとき


(近代)
イギリス

経済衰退の歴史学―イギリス衰退論争の諸相

経済衰退の歴史学―イギリス衰退論争の諸相

実態としての産業革命を否定する。産業革命論がどれほどイギリスの経済状況やジャーナリズムと密接に結びついているか。


フランス

そういえばセルトーのこれはどこにも挙がってなかったですね。

ルーダンの憑依

ルーダンの憑依


ドイツ・スイス・ネーデルラント

模倣から「科学大国」へ―19世紀ドイツにおける科学と技術の社会史

模倣から「科学大国」へ―19世紀ドイツにおける科学と技術の社会史

一九世紀プロイセン・ドイツにおける科学技術と企業と国家の関係の変遷の具体。


しかし年が合わなかったというのもあるのかもしれませんが、良知力氏について、どこかで触れてくれもよかったとは思うんですが。

思想史と社会史の弁証法―良知力追悼論集 附・良知力コレクション目録

思想史と社会史の弁証法―良知力追悼論集 附・良知力コレクション目録

マルクスと批判者群像 (平凡社ライブラリー)

マルクスと批判者群像 (平凡社ライブラリー)



南欧

マキァヴェリアン・モーメント―フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統

マキァヴェリアン・モーメント―フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統

まあ、南欧のカテゴリーでもあるけど。
言わずもがなのポーコック。
ルネサンスフィレンツェから17世紀イングランドへの共和主義移植を論じた名著。


(現代)
イギリス

上海租界興亡史―イギリス人警察官が見た上海下層移民社会

上海租界興亡史―イギリス人警察官が見た上海下層移民社会

個人的には原題の方が好み。
Empire Made Me

Empire Made Me

第1次世界大戦に従軍したランカシャ労働者階級出身の若者が、失業という現実を避けるために、遠い上海租界で警察官となり、1939年に日本海軍と偶然の衝突から死に至るまでの人生を細かな資料を根気よく積み上げることで赤裸々に描写。


ドイツ・スイス・ネーデルラント

ホロコースト―ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌 (中公新書)

ホロコースト―ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌 (中公新書)

ホロコースト研究の貴重な手引き。


ロシア・東欧・北欧

ボスニア内戦 [国際社会と現代史] (国際社会と現代史)

ボスニア内戦 [国際社会と現代史] (国際社会と現代史)

民族浄化の実態に迫る労作。
セルビア人、クロアチア人、ボスニア人各自の民族浄化を描き分ける。
読み手を辛くさせる凄惨な場面が次々と迫る。残虐行為の検証も含めた内戦の実態解明なしに、ジェノサイド発生のメカニズムは迫れないとする著者の意気込み。